
近年、サプライチェーンを狙ったサイバー攻撃が急増しています。大企業本体ではなく、取引先の中小企業を踏み台にした侵入や情報漏えいが深刻化し、取引停止や事業継続に影響を与える事例も少なくありません。こうした背景を受け、経済産業省は2026年度に「セキュリティ対策評価制度」を開始予定です。
この制度は、企業のセキュリティ対策レベルを共通基準で評価・可視化し、取引先選定やリスク管理を容易にする仕組みです。評価は★3(Basic)、★4(Standard)、★5(Advanced)の3段階で、★3は全企業が最低限実装すべき基本対策(自己評価)、★4はガバナンスやインシデント対応を含む包括的対策(第三者評価)、★5は国際規格に基づく高度な対策を想定しています。
導入の狙いは、取引先ごとに異なるチェックシート対応の負担を減らし、サプライチェーン全体のセキュリティ水準を底上げすること。特に中小企業は、評価取得が取引条件になる可能性があり、準備の遅れは機会損失につながります。
企業は今から、①現状のセキュリティ対策の棚卸し、②目標評価レベルの設定、③不足項目への対応計画策定を進めることが重要です。制度開始後は「星の数」が信頼の証となり、ビジネス継続に直結します。今こそ、セキュリティ体制の強化に着手しましょう。


